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南西ドイツ放送交響楽団 [コンサート]

2012年2月19日(日)15:00~ @石川県立音楽堂コンサートホール
M.Ravel: ピアノ協奏曲 ト長調
 (Encore) F.F.Chopin: ワルツ第9番 変イ長調 Op.69-1「告別」
  *  *
G.Mahler: 交響曲第5番 嬰ハ短調
 (Encore) S.Prokofiev: バレエ音楽「ロメオとジュリエット」Op.64より「騎士たちの踊り」

 萩原麻未(Pf.)   フランソワ=グザヴィエ・ロト(Cond.)
 南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルク


昨年は大震災で中止になった、東芝グランドコンサート
提供・東芝、主催は石川テレビ・北陸中日新聞、だそうだ。
この日のコンサートは、マネジメントに怒り心頭、音楽に大感激という、なんとも
複雑な後味のものだった。



まずはマネジメントに対する不満から。
不満を読みたくない方は、ずずっと下のアステリスクまでどうぞ。

そもそも、入り口に御大層な石造りの演奏会案内があって、まぁもったいないことを
する、と思っていたのだが…
客席が、どうも妙なことになっていたのだ。C席の3階席はギッシリ。
特等席の1階最前列から数列には、空席だらけ。あとはまぁ、それなりに。
1階席の前方2/3くらいと、2階バルコニー席前列は、どうも招待客用だったらしい。
招待席がそれだけあるとなると、当然その分の席料がチケットに反映されるわけで、
通常のOEKの定期公演ならSS席でも5~6000円のところ、倍近くの値段がした。
いつもならスターライト席として学生さんに500円で開放している3階席も、4000円。
これでも東京大阪よりはずいぶんと安いとは思う。
が、音楽堂のいつものコンセプト、いい音楽をお手軽なお値段で提供することで、
クラッシックの裾野を広げようというのとは正反対のものだと思う。

さらに。招待客にはプログラム引換券が配布されていたらしく、その他の、つまり
まともにお金を払ってチケットを買ったお客さんには、「1500円で販売しております。」
プログラムが1500円って、ちょっとふざけすぎてはいないか?!

それでも、普段クラッシック聴かないけどこういう機会なら、というひとに、本当に
クラッシックを好きになってもらえるような音楽会なら、それはとてもいいことだと思うし、
そのために古来からのファンが多く払うのだって否定するつもりはない。
しかし、だ。普段スポーツしないけど、たまには身体を動かしてみようという人に、
フルマラソンを勧めるだろうか? たまには本でも読んでみようかな、という人に、
暗くて重い、ひたすら哲学的な苦悩を語る大長編を勧めるだろうか?
そういう人には、まずは軽いもの、短いもの、手軽なものを勧めて、その楽しさを
十分に知ってもらうのが第一歩ではないか?
なのに、この日のプログラムは、よりにもよって大巨編のマーラー。
(ラヴェルはこの点、とてもいい選曲だったと思うのだけれど)
いくら素晴らしい曲だって、1楽章あたり約15分、全曲で1時間をゆうに超える曲を
聴かせ、しかも読書やマラソンはイヤになればやめればいいけど、演奏会は
趣味に合わないからといって、中座するわけにもいかない。
これって、やっぱりクラッシックはつまらん、と思わせるだけじゃないのか?

私は今回、2階バルコニー席2列目の一番ステージ側という、会場の空気がほとんど
気にならない位置に座っていたのでそれほど意識はしなかったのだけれども、
それでも楽章間の、ホッとひと息ついて次の楽章への緊張感を高めるはずの
わずかな間の、「やれやれ、やっと終わったか。しかも、まだ続くの?!」と
いわんばかりの弛緩した空気は、本当に嫌なものだった。
これは、決してお客さんが悪いんじゃない。コンサートのコンセプトというものを
まったく理解していない、招待客への配慮もない、タダ券バラ撒けば客は喜ぶ、
ホールもいっぱいになって演奏者も喜ぶと思っている主催者の落ち度である。
招待客にも、演奏者にも、たいへん失礼なことだと思う。

たしかに招待券をばら撒きでもしなければホールがガラガラの都市もあるだろう。
しかし、金沢は幸いにしてそうではない。OEKの努力もあり、元からの文化的な
ものへの理解が深い土地柄もあるのだろうが、普段の値段で全席を売りにだしても、
ホールはかなり埋まっただろう。いや、むしろふだんOEKができない規模の
有名な交響曲だから、定期公演よりもお客さんが入ったかもしれない。
こういう土地柄にあるにもかかわらず、これほど頓珍漢なことをやらかす主催者が
土地の有名企業だというのは、誠に残念だ。

  *  *
さて、気を取り直して。実際、演奏は本当に素晴らしかったのだ。
前半はラヴェルのピアノ協奏曲。以前から何度も書いているが、もう本当に大好きな、
素敵な、ワクワクする曲なのである。
ピアニストは萩原麻未さん。とても若い方なのに、素晴らしいピアノだった。
すばらしい華がある。だけど、オーケストラにもするりと馴染む、ベテランのような
協調性と独創性を兼ね備えた独奏で、本当に楽しく聴けた。
最初、テンポ設定は遅めかと思ったのだけれども、いやいや、盛り上がるにつれて
ピアノも、オケも、どんどん調子を上げて走る走る。
特に管楽器がとても元気! ピアノの音も、オケのそれぞれの楽器の音も、
まるでピチピチと飛び跳ねているかのような、色彩豊かでヴィヴィッドな演奏。
第2楽章では一転してしっとりと美しく、夢を見ているかのようなゆるやかさが、
また第1・3楽章と対照的で、とてもよかった。
思わず踊りだしたくなるような、テンポもリズムもとても弾んで元気のいい、
華やかで明るくてキラキラの、ステキなラヴェルだった。

ピアノのアンコールはショパンのワルツ。かなりテンポを揺らす演奏だったけど、
それがしつこくなくて、気紛れというか、なにげないというか、
Aquoiboniste、という言葉が頭に浮かんだ。A quoi bon(それがどうした)が
口癖の人、という意味の、ジェーン・バーキンの歌だけれども、
なんかそういう、ちょっとやる気なさげな、イマっぽい感じが、情緒過多の
ショパンよりとってもお洒落でサラリとしていて、いい感じ。

後半は大巨編のマーラー。オケも、わぁお、すごい大編成。
オケ曲まだまだ初心者の私は、たぶんまともに通して聴いたのは初めて。
が、本当に素晴らしい。終わってから、もう一回通して聴きたいと思ったほど。
オケはあのはじけっぷりが嘘のように、一転してどっしりと、腰の座った音を出す。
かといって重苦しいわけでもなく、さきほどのラヴェルがガラスのキラキラなら、
今度は油絵の豊かな色彩。本当に色鮮やかで、力に満ちた音なのだ。
本当にずっと聴き続けていたいと思うほどの、全身をどっぷり浸して味わうような、
力強く、豊かな演奏だった。
席からは管楽器も、パーカッションも、どの楽器が演奏しているのかがよくわかり、
視覚的にもたいへん楽しかった。来年度の定期会員の席替えで狙ってみようかな。
やっぱり管楽器の厚みがすごいなぁ。ホルンなんか7人もいたし。
すごく大きいコントラファゴットやバスクラリネットなんかもしっかり見えて、
持ち替えの瞬間なんかまで目撃できて、こういうのも楽しい。
第3楽章ではホルンのトップ奏者を指揮台の横に呼んで、ホルン協奏曲風に
演奏するなど、そういう工夫も楽しかった。

アンコールはプロコの「ロメオとジュリエット」から、いわゆる「予想外の曲」。
ピアノ組曲や管弦楽用の演奏会組曲第2番だと、タイトルは「モンタギュー家と
キャピュレット家」となっているんだけど、バレエ音楽では第1幕第2場第13曲、
「騎士たちの踊り」、らしい。
貴族どうしの表面上は仲良くても水面下での対立、というよりは、
もっと火花がパチパチしていそうな、勢いのある、鋭い演奏だった。

本当にワクワクする、全身で音楽に浸りきれるような演奏会でした。(演奏はね。)
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