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小曽根真 Road to Chopin [コンサート]

F.Chopin/小曽根真:
 前奏曲第15番 変二長調 「雨だれ」 Op.28-15
 ワルツ第6番 変二長調 「子犬」 Op.64-1
 マズルカ第13番 イ短調 Op.17-4
 マズルカ第24番 ハ長調 Op.33-3
小曽根真: パンドラ
F.Chopin: 練習曲第4番 ハ短調 Op.10-4
   *  *
F.Chopin/小曽根真:
 ドゥムカ イ短調 (あるべきものなく)
 マズルカ第48番 ハ長調 Op.68-1
 前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
Antônio Carlos Jobim: How Insensitive
ポーランド民謡: ツタネチュカ
F.Chopin: 夜想曲第2番変ホ長調op9-2
(Encore) ポーランド民謡 クヤヴィアック (マズルカ 嬰ハ短調 op.6-2)

 小曽根真(Pf.)  アナ・マリア・ヨペック(Vo.)

11月6日、北國新聞赤羽ホールにて、小曽根真さん&アナ・マリア・ヨペックさんのコンサート
"Road to Chopin featuring Yamaha CFX"があった。
5月のラ・フォル・ジュルネでもこのペアによるコンサートがあったのだが、生憎ながらチケットが
売り切れていて、聴けなかった。そのときから11月のこのコンサートは必ず行く! と、
ずっと楽しみにしていたコンサートだった。


前ベルがなると、会場の期待を思わせるかのように静まり返る会場。
ところが、舞台は空っぽなのに急に拍手が始まり、えっ? と思うと、なんと会場後方から
小曽根さん登場。
さて、第1曲めはプレリュード「雨だれ」による即興演奏。マジョルカ島で作曲されたという
原曲の、自然にあふれたヴィラの軒先から滴り落ちる雨だれ… というイメージとはまったく
違う、灰色の都会にぽつぽつと雨が滴り、やがて嵐になる、というような印象だった。
2曲目は子犬のワルツのテーマによる即興。「子犬」という愛称どおり、音が飛び跳ねる。
「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」を思い起こさせるような、軽快なリズム。初めのテーマは
2拍子で、やがて中間部で3拍子になるも、ご本人の解説によればベネズエラのワルツの
リズム、つまり一拍目が休みになる、とてもリズミカルなワルツのリズムにのっての演奏。

3曲目は、マズルカのテーマ。サティのジムノペディのような、静かな囁きにはじまり、
特徴的なシンコペーションのリズムにのって即興が繰り広げられる。ちょっと「革命」も
交じっていたような気がするのだけど。
4曲目、またマズルカ。小曽根さんはショパンのなかでもマズルカにとてもシンパシィを
おぼえたとのお話。しかし先ほどとはずいぶんとイメージが違う。足踏みのリズムがまるで
ウッドベースのように、メロディさえ聴き取れるような気がした。左手の和音が合いの手に
なって、おお、ジャズだ! という感じ。原曲が、ディキシーランドのコード進行と似ている
のだそうだ。なのに最後だけなぜか唐突にクラッシックになって終わり。

5曲目は、小曽根さんのオリジナル曲。ジャズでもなくクラッシックでもない、不思議な
雰囲気の曲。最初と最後の静けさが、少しシェーンベルクを思わせるような感じ。
激動の中間部。あれ? これ、ドビュッシーの花火の高音部にこんな音形あったよね?
前半最後の曲は、再びショパンのプレリュード、ただし原曲そのまま。
けれど、なんだろう、これは。クラッシックのピアニストが弾いても、絶対にこうはならない。
リズム感がジャズっぽい… というだけではない気がする。
でも、情緒過剰なクラッシックの演奏よりはよほど好きだな。
小曽根さん自身は、クラッシックを聴いたり弾いたりし始めたのは最近のこと、と仰ったが、
絶対にそんなはずはないと思う。

後半、「お色直し」をした小曽根さんが演奏を始めると、やはり会場の後方からヨペックさん
登場。ショパンの歌曲「ドゥムカ」のテーマ。南欧とか、ラテンのイメージ。
次はマズルカ。ヴォーカルが、こんな風に「楽器として」リズムやメロディを担当し、ピアノと
「デュオ」をするというのは、とても面白かった。2人とも、さらにリズムを足で激しく刻んで、
まるでもっとたくさんの楽器が参加しているようなアンサンブル。
次のプレリュードは原曲どおり。そこからそのままヴォーカルが参戦し、この曲を原曲とした
ジョビンの「ハウ・インセンシティヴ」へと移行。原曲の音はほぼそのままなのに、4拍子に
するだけでがらりとボサノヴァになってしまう。ヨペックさんが「スクトゥク」と口でスネアの音を
模して(こういうとき、マイクって便利だなと思う)ピアノのメロディにかぶせたかと思うと、
今度はピアノがリズム、ヴォーカルがメロディを担当する。その変幻ぶりがとても面白い。

次はポーランド民謡、ツタネチュカ。これは、飛べない野生の鳥の名前だそうだ。
内部奏法で、まるでギター伴奏の歌のような雰囲気を出したり、ヨペックさんがピアノの
大屋根の中に頭を突っ込んで声を出すと、ピアノの箱の中で反響し、増幅され、弦が
共鳴する、そこにピアノが反応するという、とても不思議なピアノとの掛け合いも楽しめた。
ヨペックさんがピアノの周りをステップを踏みながら踊る、そのステップの音や、ピアノの
和音連打が、まるで打楽器が参加しているような、幅の広い表現。

最後はノクターン。その甘ったるさがはじめは好きではなかったが、ショパンの生涯や故郷に
向けた想いを重ねると、違った印象になり、弾いてみたくなったとのお話だった。
そのお話の通り、ゆっくりゆっくり、やさしく、穏やかで、まるで祈りのように。
そこが変わらずにあってほしいと願う、限りない故郷への憧憬、懐かしいその地を想うのは、
母の胸に抱かれるかのように甘やかで、そして少し切ない、そんなイメージ。

アンコールは、ショパンのマズルカのもとになったという、ポーランドの民謡、クヤヴィヤック。
まるで子守唄のようなメロディ。気がつくと、ライティングがまるで木陰にいるようなものに
なっていて、草の上で微睡んでいるような気分になった。

とてもいろいろなイメージを掻き立てられたし、それにピアノとヴォーカルだけでこんなに多彩な
表現ができるのかと本当に感嘆した。まぁ、個人的に内部奏法はあまり好きではないけど…
それに今回のツアーは、作られたばかりの特製ヤマハCFXと共に回るツアーだそうで、
小曽根さんがお茶目にCFXに語りかけたりもしていたのだけど、でも本当にしっくりとなじんで
いる雰囲気があって、相棒といつも一緒という贅沢に、ちょっと羨ましくもあったのでした。
だって、ふつうピアノ弾きは、そこにあるピアノを、どんなに相性が悪くても、弾きこなさないと
いけないものだから。
金沢で日本のツアーは終わりで、これからポーランドツアーとのことでしたが、小曽根さんも
ヨペックさんもCFXも、元気にあちらの人も魅了してきてほしいなと思いました。
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