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IMA&カンタービレ ジョイントコンサート [コンサート]

Niccolò Paganini: 24の奇想曲 op.1より 第20番、第4番、第11番、第21番、第24番
  神尾真由子(Vn.)

Johannes Brahms:  クラリネット五重奏曲 ロ短調 op.115
  原田幸一郎(1stVn.)  江原知恵(2ndVn.)  シンヤン・ペック(Va.)
  サンミン・パク(Vc.)   遠藤文江(Cl.)

Antonin Dovořák: ピアノ五重奏曲 イ短調 op.81
  レジス・パスキエ(1stVn.)  神尾真由子(2ndVn.)  原田幸一郎(Va.)
  毛利伯郎(Vc.)   チュンモ・カン(Pf.)


約ひと月振りのコンサート。ものすごくひさしぶりな気がする。
以前は年に1、2回も行ければいい方だったのに、まったく金沢に来てから病膏肓である。

また、3人以上の室内楽を聴く機会というのも、実をいえば今まであまりなかった。
ピアノとヴァイオリンとかフルートとかのデュオはなじみがあるのだが、弦楽器を中心とした
合奏は、聴く機会も少ない。私の経験では、京都国際音楽学生フェスティヴァルくらいかな?
そもそも内輪の発表会ではなく、ちゃんとした室内楽アンサンブルのコンサート(一般に
チケットが手に入るもの)は、かなり少ないと思う。
OEKの「もっとカンタービレ」シリーズは、そういう意味でも興味深く、これから頻々と出かける
ことになりそうな予感。
今回は、豪華な石川ミュージックアカデミー講師陣とOEKメンバーのジョイントということで、
大変楽しみにして出かけた。
同じように考えた人は多かったようで、会場に着いたときには入場の長蛇の列。
ようやく入ったときには、開演までまだ間があるにもかかわらず、すでに空いてる席がない!
立ち見を覚悟したものの、係の方が急遽大量に出して来られた追加の椅子に座ることができて
ひと安心。当然、一番端っこだったけど。

それで、今日の感想をひとことでいえば… シアワセ~♪



先ずは神尾さんのヴァイオリンソロ、パガニーニの24のカプリース。
何度聴いても、なんという超絶技巧の曲! 超高速のスピッカート、すべての弦のすべての音域を
フルに使ったアルペジォ、重音の嵐、オクターヴ奏法…
(ヴァイオリンに常時複数のメロディを奏でさせるのは、なんか間違ってるような気がする…)
それを神尾さんは、まったく迷いなく、確信をもって演奏する。
この曲集には、一般的なヴァイオリンのイメージにある、なめらかでつややかな音でゆったりと
歌い上げるような生易しい曲は存在しない。
であるのに、神尾さんの音は、艶があってなめらかだった。
たとえるなら、ヴェルヴェットの表面に爪を立てて逆向けに毳立てた手触り、かな。
どっしりとした抵抗感があって、でも艶も光沢もなめらかさも失われない、そんな感じなのだ。
(いつもながら、突拍子もない表現だと我ながら思うのだけれど)

次は、ブラームスのクラリネット・クィンテット。聴くのは初めてだ。かなりの大曲。
1stヴァイオリンとチェロがIMA講師陣、2ndヴァイオリンとヴィオラ、クラリネットがOEKメンバー。
室内楽っていいなぁ、と思った。オーケストラとはまったく違う、堂々たるソロ楽器が集まった
弦楽器のハーモニー。また、一本のメロディが5つからみあってひとつの音楽を作っているわけで、
そこにはピアノのような、一度にたくさんの音を出せて、伴奏やリズムセクションを担当できる
存在はない。ピアノデュオなどとはまったく違った魅力があるのだ。
ただ、クラリネットは主役を張ってるし、1stヴァイオリンとチェロはもともとがソリストさん、
となると、やっぱりオケ団員さんは、前に出るパワーはもうちょっと、なのかな。
うっかりしているとふっと存在が音の中に埋もれて見えなくなるような、そんな感じがした。
まぁ、ソリストは目立ってなんぼ、自己顕示欲の塊じゃなきゃできないだろうし、逆にオケに
そんな人がいたら困りものだろうから、これは腕の問題とは関係なく、職業病だろうと思う。
もっとも2ndVnとヴィオラは、楽器の性質からしても縁の下の力持ちなので、それでバランス
よくまとまっていた、ということもできるだろうけど。

休憩を挟んで、ドヴォルザークのピアノ・クィンテット。今度はIMA講師陣オンリー。
ドヴォルザークの曲というのは、なんというか、ものすごい破壊力をもっていると思う。
それまで聴いていた曲のイメージが全部吹っ飛んでしまうような、独特の世界。
最初の数小説で、チェコの山里に連れて行かれた気がした。
厳しく、険しく、人間の手を頑として拒む、しかしあたたかくて懐深い雄大な自然と、
その自然の中で生きる人間たちの、血の中に流れる土着のリズム。

この曲の第3,4楽章は、同じドヴォルザークのスラヴ舞曲の激しくも素朴な踊りのイメージと
比べると、はるかに洗練された、一流の踊り手の競演、というイメージだった。
このイメージは、そのままこのメンバーに当てはまる。ソリストたちが、勝ち負けではなく
その持てる力を堂々と競って披露しあう、協奏ならぬ「競奏」。
ひとつの曲を作りながら、個性はまったく失われないどころかさらに際立って、絡み合い、
主張しあい、高めあってゆく。
パスキエさんにはLFJ以来あまりいいイメージがなかったのだけど、完全に払拭された。
ただ、やっぱりときどき走りたがる感じがあったけど。
神尾さん。2ndヴァイオリンがあそこまで力強いとは。選曲に感謝(実は急遽シューマンから
変更になったのだ)。素晴らしい。
原田さん。 ブラームスでヴァイオリンを弾いていたときにはそこまでの感銘を受けなかった
のだけれど、ヴィオラに持ち替えた途端、なんという色っぽい音になるんだろう。
チェロは堂々と、悠然と、艶っぽく、ピアノは鍵盤楽器の面目躍如、多彩な役割を縦横無尽に
こなし、なんというかもう、泣けてくるほど凄い演奏だった。

終演後には、もう熱に浮かされたか酔っ払っているか、魂が頭上にふわふわ浮かんでいる
ような、夢見心地のなかで帰途についたのでした。
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